「2009年11月」
退院をして自分の部屋に戻る。
まだまだ流動食は続く。
術後3週間でほぼ回復するでしょうとの事だったが。
1ヶ月検診の時にまだモノが巧く飲み込めない。
鼻へ全て逆流する。
言葉も全然喋れない。
歌を唄うどころか、この先喋れる様になるのかと不安になる。
もう無理かと心が折れる。
1ヶ月ぶりに家族以外の人とコンタクトをとる。
信頼するスタッフと。
ほとんど聞き取れない言葉の中でも懸命に話を聞いてくれた。
「タイラ君、30分前よりよく喋れてるよ」
「だから時間をかけてゆっくりいこう」
その言葉に救われた。
いつも自分でそんな事を歌詞に書いてるのに。
当の本人が忘れていた。
自分の弱さをちゃんとみとめられた瞬間だった。
その日から日に日に戻っていくのを実感した。
12月に続く。